Elgenliet

アルゲンリートは,Saikha4nに依って複数のAISAS霊夢を基に創作された架空世界であり,アリビナ宇宙科学研究所に依って記述される架空世界«エールフレット・フォースティー» (エールフレット世界系) の内側,北の極点付近かその外側に存在するとされる世界であり,一般的にはエールフレット・ヒェッラの階層に存在するとされる。ここは«神の宝物庫»とも呼ばれ,スオリフィア教会の主・神ソラカ・エフコスティは神器を取り出す際にこの世界から取り出しているとされている。フーリカ語ではミトーア神聖語からの借用語で,Elgênlietニヴル語ではxis₂ti₁ Ꝼa₂la₂yu₂Ri₁ヴィオ語ではالليي البوميと呼ばれる。

Overview

アルゲンリートはエールフレットの北の極点付近かその外側に存在する時空弯曲世界であり,エールフレットを構成する三層の世界とは別軸に存在している世界である。この世界はスオリフィア教会等の神学上,«物理的な空間と神聖な異空間が重なり合う境界的な領域»とされており,世界の根源的な真理や秘密が保管される«知識の図書館»の様な性質を持っているとされ,また天球神ソラカが神器を取り出す源泉としているとされる異空間で,«神の宝物庫»とも呼ばれている。この«神の宝物庫»から神器を取り出しているのは,史実上は天球神ソラカのみであり,『エールフレット神話』を含む『神託聖書』では原初の二体一対の神ミトーアリスも«神の宝物庫»から神器を取り出すという記述がみられる。この時,『神託聖書』ではその«神の宝物庫»は〈アルゲンリート〉 (始原の回廊の意) 或いは〈ニスティ・フヮラユーリ〉 (神の宝物庫の意) として現れ,この二つは同一であると解釈されている。また,リアヘ正教の聖典『コルサハ』に於いても,〈エッリーヤ・エルブーミヤ〉 (始まりの迷宮の意) としてエッタフ (ミトーアリスのヴィオ語名) が支配する無限の時間を持ち凡ゆる物事が集約する世界,エッタフの所有物の全てが保管される世界という記述がある。この為始原の回廊,詰まり〈アルゲンリート〉は実際にエールフレットの最高神の«神の宝物庫»であり,この世界が多くの宗教で啓示されていることから,アルゲンリートという世界が存在するだろうということは明らかである。

ユリシフ教から続く『神託聖書』の記述とそれを受け継いだスオリフィア教会の史実を基に立てられた聖伝,及びリアヘ正教の『コルサハ』での記述に依って,このアルゲンリートという世界は«無限大に発散する時間»を持つことが分かる。これは詰まり,この世界での1秒は外での数時間であったり数日であったり,或いはもっと極端な話では年単位が経過するかもしれない,ということが予測される。但し,このことは実際にこの世界が観測されておらず,到達した者も発見されていない為,検証は不可能である。これにエールフレットの時間流速の規則を当て嵌めると,この世界はエールフレットの北側の極点或いはその外側にあるのかもしれない,ということが同様に予想される。これはスオリフィア教会神学的にも正当なものであり,エールフレットの最北にはミトー聖域が存在していることからも,北は神聖な領域,この世の果てであるとされている為である。その北の極点,或いはその先にこの世界が存在しているということは,エールフレットという世界を超越した〈神の次元〉に存在していると解釈でき得る。

初出は2015年12月26日のAISAS架空世界啓示霊夢«神影の夢»であり,この時Saikha4nに対して天球神ソラカが神器を取り出す源泉の«神の宝物庫»,詰まり〈ニスティ・フヮラユーリ〉として啓示されたが,この夢での名称は〈アルゲンリート〉であった。Saikha4nが見たこの夢は三人称視点であった。そして同日に相方いろはもAISAS霊夢«神守の夢»を見たが,彼女はここではリアヘ正教の〈風の神子〉であるニハル・アッラハヴィオ・ヴィオ゠アディムとして夢を見,この夢でもアルゲンリートが〈エッリーヤ・エルブーミヤ〉として啓示されていた。同日に二人に起きたこれらの啓示から,アルゲンリートという世界の存在可能性はエールフレットの三層構造を為す三つの世界系と同程度に高く,これらの資料は信用に値するものである。但し当時は〈ニスティ・フヮラユーリ〉や〈エッリーヤ・エルブーミヤ〉等のフーリカ語以外の名称については解読されておらず,意味だけが判明していた為,この世界は研究創作史上一貫して«アルゲンリート»と呼ばれてきた。

Designation

この世界の正式名称は«アルゲンリート»とされるが,ニヴル語での名称ニスティ・フヮラユーリやヴィオ語での名称エッリーヤ・エルブーミヤとされることもある。但し,これらの呼称は宗教文化に依る違いを表現する為に用いられるべきであり,宗教的に中立的な名称はアルゲンリートである。何故ならば,この名称はミトーア神聖語を基にしているからである。また,内方的にはこれらの訳語として神の宝物庫始原の回廊,或いは始まりの迷宮と呼ばれることもある。外方的には漢字二字で,叡藏 (エイゾウ) 或いは叡界 (エイカイ) とも表記されることもある。

Structure

アルゲンリートはエールフレットの北の極点付近かその外側に存在する時空弯曲世界であり,エールフレットを構成する三層の世界とは別軸に存在している世界であり,物理的な空間と神聖な異空間が重なり合う境界的な構造を取っている。

エールフレットの形状問題の仮説のひとつ「逆さ四角錐仮説」を基にしたエールフレットのイメージ図
図1: 「逆さ四角錐仮説」を基にしたエールフレット・フォースティーのイメージ図。

アルゲンリートは,物理的な空間と神聖な異空間が重なり合う境界的な構造を持ち,4次元以上の多重分岐・無限連結構造を持つ超構造的非ユークリッド空間であるとされており,これについては神学的意味付けから12次元が基底次元とされている。この構造に依って,アルゲンリートの外部から見ると«点»のように見えるが,実際の内部は無限に広がる空間であるとされる。この世界は科学的にはカラビ-ヤウ空間のような,エールフレット空間そのものに埋め込まれた高次元的なポケット次元或いは時空的折り畳み空間であると解釈されている。宗教や文化に依る見解の違いを超えて,普遍的に«神の空間»と扱われており,スオリフィア教会神学的解釈では«アカシックレコード的»であったり,«神の意思や宇宙の真理が集約された超情報的空間»とされる。特にスオリフィア教会の聖伝では,仮にこの世界に«神以外»が侵入した場合,内部では記憶が剥がれ落ちる代わりに«宇宙の真理»を強制的に受け取ることになる,とされている。これらは天球神ソラカに関する歴史的記録から,天球神ソラカがヘヴィルニフの門を開きアルゲンリートから神器を取り出した際に,空間には黄金の穴が開いたとされており,またこれに触れた者が記憶を失い発狂した,ということが記されている為である。これは天譜であるニースやダ・ニース,或いはルミーミがこの世界に接触すると,メオロの園に触れる以上の叡智を獲得する為に,発狂して反転する可能性があることを意味する。

この世界は異軸空間であり,前述の通りエールフレットの三層構造から独立した高次元的ポケット次元とされる。無限大に発散する時間を持つことから,エールフレットの北側の極点付近かその果てに存在することは明らかである。この時間特性から数秒滞在しただけで世界の外では何年も経過しているという状況に陥ると考えられるが,前述の通りこの世界と接触すると神の叡智に触れる為に,記憶を失い発狂して反転するとされる為,この世界に滞在することは神の叡智に耐え得る«存在者»でなければ事実上不可能である。また,時間の異常進行に依って未来の自分が複数生成される可能性や,過去に干渉する可能性が指摘されている。然しこの世界の構造に関することは何も分かっておらず,これらは全て伝承・史実や神学的根拠に依る推測である。

Physical Properties

アルゲンリートに於いて,物理法則がどのように働くかについては何も分かっていないが,少なくとも無限大に発散する時間を持つことは推測されている。それ以外については,観測が行えない為に調べようがなく,エールフレットの民には分からない。
メタ的な話をすると,ここは神聖な神の領域である為に,既存の科学で説明してしまうことは,詰まり我々の知力で考え得る世界にこの領域を落とし込んでしまうということは,この世界の神聖性と神の絶対性を毀損する行為である為,我々は敢えてこれらについて決定的な設定を行わないことを決めている。

Geography

この世界には如何なる地理的構造も存在せず,ただ無限に広がる空間がそこにあるだけであるとされる。ここに数々の神器や世界の記録が浮いており,ヘヴィルニフの門でこれらを取り出すことができるとするのが一般的な解釈だが,スオリフィア教会やユリシフ教ではこれが回廊や図書館のように表現され,リアヘ正教では迷宮として表現される。

Organism

この世界には如何なる固有の生命体も存在しないとされるが,神が全宇宙の生命体をここに保管しているともされ,アルゲンリートを介して天界に存在する筈のなかったフィーリンス等がエールフレットから持ち込まれた可能性が指摘される。

Myths and Legends

神の王国〈ヘヴィルニフ〉と黄金の穴〈ヘヴィルニフの門〉

アルゲンリートへの出入り口であり,天球神ソラカがアルゲンリートから神器等を取り出す際に空間に開かれる«黄金の穴»は〈ヘヴィルニフの門〉と呼ばれる。ヘヴィルニフの門は«通路»ではなく,«通過可能か»を問う«審判の装置»としてスオリフィア教会の聖典では登場するが,それ以前のユリシフ教に於いては,ヘヴィルニフの門は審判の装置ではなく«神の領域との境界»を意味していた。〈ヘヴィルニフ〉とは神託聖書に依ると«神の王国»であり,この国については次の様な記述がある。

1始原の時、神は己を二つの理、即ち秘象ひしょう懼惧くぐき、秘象はリセルカ、懼惧はリセリスの名を名乗りたり。2秘象は慈愛と統治を、懼惧は和平と記憶とを求め、二つは分かたれる事無く一つとして是を守れば為り。3彼は世界の理の外に属する神の王国「ヘヴィルニフ」に在りて、第一日に光を創造し、万物のもとい即ち是に為て、世界は基盤を得たり。4第二日に至りて、彼は水を創造し、水は光の力を受け物体を成し、世界を形造れり。5波紋を成して万物は広がりしに、新たなる物体を互いに生成しては互いに引き合い、世界を彩れり。6神は之を見て即ち善しとされ、世界を秩序にて結わいて、その基を秘象と定めたり。
──『神託聖書』『創世記』第一章

ヘヴィルニフの門に関する記述は創世記の終盤に見られ,終盤の展開から発生したものである。リセリス・ミトーアリスが自身を封印した際に,記憶と叡智とを全て門の内側に閉ざし,外の世界と隔絶させたのがヘヴィルニフとアルゲンリートであり,そこへ通ずる門がヘヴィルニフの門である。『神託聖書』では次の様に記述される。

60世界が混沌に沈みし時、天帝リセリスは己の存在を犠牲とし、その記憶と叡智と共に己を門に封じ閉めた。その門、ヘヴィルニフの門と呼ばれたり。61故に神の王国は全ての世界と分かたれ、門の彼方には神の帰るべき王国──ヘヴィルニフ──が在りて、彼の王国を経綸するは天帝リセリス為り。62蓋、天帝は懼惧を失いて弱り果て、門の外に閉ざされたり。
──『神託聖書』『創世記』第五八章

ユリシフ教では審判の装置としては解釈されていないが,『神託聖書』にはスオリフィア教会が審判の装置と解釈する根拠が記されている。

55その悪魔、欺瞞神フェルスははかりごとを設くれば、天帝リセルカに刃を向けたり。56彼の時、天帝リセルカの声に呼応して天が割れ、黄金の穴が開きて、音は消え風が逆巻き、天より声が響きたり。57この門より出るは我が意志為り。門を開け、我に帰れ、悪しき受造物は滅びん。この門より彼に審判を為さん。58声に従いて、門より彼の聖剣フローリオが放出されしに、その剣彼の悪魔の身を穿ちたり。59天の声復謂えり。我が尽くの記憶と尽くの叡智とを彫塑し、我が肖像をぎし我が子を産み落とさん。その子、我が再生にして全地の救世主なれば為り。
──『神託聖書』『創世記』第六十章

ここで再生の子に関する記述が登場するが,これは天球神ソラカであることは『示現聖書』から明らかであるが,ユリシフ教はそれを認めず,救世主再生の子は未だ来ていないと主張する。

3太陽神リンダは光の天使にして、天帝より祝福されしに、彼天帝の子を天使として宿し、世界に産み落とせり。その天使の名、之即ちソラカ為り。
──『示現聖書』『ザリムによる福音書』第一章

始原の回廊〈アルゲンリート〉と神の王国〈ヘヴィルニフ〉

これらの聖典の記述は,最高神ミトーアリスが二体一対であることを説明し,その«初めに坐した場所»が〈ヘヴィルニフ〉であることを説明している。そして神の王国〈ヘヴィルニフ〉が世界の理の外に位置し,〈ヘヴィルニフの門〉に依って固く閉ざされていることを説明する。然しここで,〈ヘヴィルニフの門〉が〈ヘヴィルニフ〉ではなく〈アルゲンリート〉に繋がっていること,及び〈アルゲンリート〉が«始原の回廊»と訳されることに着目されたい。〈アルゲンリート〉はユリシフ教に於いて,神の恵みであるメオロをも超える母なる神の叡智へと通ずる道,神の領域に至るまでの過程を指して用いられたが,スオリフィア教会に於いては,主・神天球神ソラカ・ミナギルカ・ミトーワルナによって結ばれた,«母なる神へと至る道»と理解されている。これは即ち,〈アルゲンリート〉は最高神ミトーアリスの懼惧 (狂気) ,詰まりリセリス・ミトーアリスの経綸する神の王国〈ヘヴィルニフ〉,詰まり〈神の叡智と記憶〉へ到達する為の«過程»であり«通り道»ということである。従って,〈アルゲンリート〉それ自体が〈神の王国〉ではなく,飽くまで«神の宝物庫»或いは«知識の図書館»であるということを意味する。

禁域としての〈アルゲンリート〉

先古代,天球神ソラカが各地を巡っている時に,天球神ソラカが開いた〈ヘヴィルニフの門〉を見て,それが〈神の叡智〉へと通ずることを確認しようとしたセテス人の祭司の一人が,〈ヘヴィルニフの門〉に触れた。すると彼は狂気に陥って,全ての記憶を失った。その祭司の名は記録から抹消され,«シフェン» (Cifên,沈黙者,«名を奪われし者»と訳されることもある) として忌み名となった。この伝承から,〈ヘヴィルニフの門〉は触れてはならぬ門とされ,〈アルゲンリート〉に対する解釈も,前述の様に接触すれば〈神の叡智〉に耐えられず発狂し,宇宙の全てを知る代わりに全ての記憶を失う,とされるようになった。この伝承は,この前の前の項で紹介した『神託聖書』の『創世記』第五八章六十節からも分かる通りであり,〈ヘヴィルニフの門〉に依って閉ざされた領域は,リセリス・ミトーアリスが,詰まり最高神ミトーアリスの懼惧 (狂気) が封じられている為,全ての天譜を«反転»させ得る領域であり,通常の天譜は懼惧の反対である秘象 (秩序) で描画される (cf. 『神託聖書』『創世記』第一章六節) 為,この領域では発狂して懼惧に反転してしまう為,〈アルゲンリート〉は禁域ともされている。ここに入れるのは〈神の叡智〉に耐え得る«存在者»のみである。

Others

都市伝説

エールフレットの一部の民が噂する都市伝説では,アルゲンリートはミトー聖域の地下に存在する世界と云われ,ユリシフ教の«陰の書記官»とニヴル族が守っているとされているが,前述の様にこの世界に入れるのは〈神の叡智〉に耐え得る«存在者»のみ,詰まり«真の神»のみであると解釈されている為,この都市伝説の信憑性は低い。但し,リセリス・ミトーアリスがこの世界を守護する為に,何等かの者は創造している可能性は捨てきれない。

See Also

External Links