Nivlkut Herra
ニヴルクート・ヒェッラは,Saikha4nに依って«大穴の夢»から取り出され,アリビナ宇宙科学研究所に依って記述される架空世界«エールフレット・フォースティー» (エールフレット世界系) を構成する世界のひとつである。晶界や魔界と呼ばれる。エールフレット・ヒェッラの下にある為地底と呼ばれることもある。エールフレットの主要言語であるフーリカ語での名称はNivlkút Hérraである。地面等殆ど全ての構成物が水晶等のシリカ鉱物で構成されたジオード型の世界で,外の光は基本的に届かない閉ざされた世界である。
Overview
エールフレットはアリビナ宇宙科学研究所で研究創作が現在も続けられている架空世界であり,架空世界エールフレットの夢の一部の夢の舞台である架空世界である。2017年2月8日の«大穴の夢»で発見された。Nivlkútはフーリカ語で«水晶»を意味し,Hérraはフーリカ語で«世界»や«領域»を表す言葉である為,«水晶の世界»が直訳である。
エールフレットを取り巻くエールフレット・フォースティーの解釈は,現在一般的にはエールフレット・フォースティーは織り込まれた時空の内側であるとする時空の歪み説が採用されている。2022年頃のアリビナ宇宙科学研究所の研究で,この仮説の前提では,エールフレット・フォースティーは地球上のUTC-8からUTC-9の位置に存在する時空の歪である,ということが判明している。ニヴルクート・ヒェッラはエールフレット・フォースティーの三層構造の世界系の最下部に位置する世界である。上にはエールフレット・ヒェッラが,その上にはウミリア・ヒェッラが広がる。深さは,ニヴルクート・ヒェッラには基準となるものがない為,エールフレットの基準高度からの深度で表される。深度13986メートルからがニヴルクート・ヒェッラである。ニヴルクート・ヒェッラは巨大な晶洞とも言われ,外からの明かりが差し込まない閉ざされた世界である。またニヴルクート・ヒェッラはニヴルークが古代全面戦争時代から占拠し拠点としていた世界でもある。これは破壊神サイカ・カーネサルク・ヴェルサルクとアプシル・ムースピーシノ率いるニヴルークの軍勢が西側に撤退を迫られた際に,カリェーセ・ビルニスフィアを発見し,そこからニヴルクート・ヒェッラを発見したことが理由である。記録された歴史上はエールフレット・ヒェッラの生命でニヴルクート・ヒェッラを初めて発見したのは,古代全面戦争初期のニヴルークのノーリンであるということになっている。然し実際には,カリェーセ・ビルニスフィア周辺にはニヴルークの襲来以前より聖樹フーリカを祖先としない別系統のトーリンの先住民族である«シェヴィール・ヴィ゠エーチカ先住民»が生活しており,鬼窖文字や奈落聖刻文字と呼ばれる標語文字でこの世界のことが記述されている石板も見つかっている。更に,何時の時代からかは定かではないが,エールフレットの神 (ニース) や準神 (ダ・ニース) がこの世界にワルサワ晶界連盟奈落聖域王国や魔法王国ゼライヤ等の国を作っている。
Designation
この世界には複数の呼称が存在しているが,正式な名称はニヴルクート・ヒェッラである。ニヴルクート・ヒェッラは外方的には漢字二字で«晶界»と表記されることもあるが,この呼び方はエールフレットの«永界»等とは異なり,ウミリア・ヒェッラの«天界»と同様にして,エールフレット内で晶界という語がニヴルクート・ヒェッラを指す為に使われることもある。これはニヴルクート・ヒェッラという語を夫々の言語に訳した単語の訳語として用いられる。また,日本語話者であるエールフレットの人類に依っても用いられている。
内方的な呼称としては正式名称の«ニヴルクート・ヒェッラ»や«晶界»との呼称の他に,«地底»や«魔界»等の呼称も用いられる。地底という呼称は,この世界がエールフレット・ヒェッラの下に位置することが由来であり,内方的にしか用いられない。同様に,魔界との呼称も内方的にしか用いられないが,魔界という呼称はエールフレットの一部の人類やニヴルクート・ヒェッラに住むカフシアデルの一部のみが用いるものであり,一般的ではない。但し,魔法王国ゼライヤのカフシアデル等やそこを統治する滅理神エヴェルゲードは好んで魔界との呼称を用い,特に滅理神エヴェルゲードはこの為に«魔王»とも表現される。但し,エールフレットで一般に魔王と言うと,セルフィニア帝国の皇帝であるアプシル・ムースピーシノというノーリンを指す (ノーリンは魔物とも称され,その王である為) ことが多い。
Structure
ニヴルクート・ヒェッラは,エールフレット・フォースティーの三層構造の世界系の最下部に位置する世界である。上にはエールフレット・ヒェッラ (下界) が,更にその上にはウミリア・ヒェッラ (天界) が,夫々存在している。

エールフレット・ヒェッラの中央に位置する波紋の森の«地点〇〇» (ちてんまるまる,またはちてんダブルオー) または«ポイントゼロ»はエールフレット・フォースティーの形状を逆さの四角錐と仮定した場合の«四角錐の重心»に当たる。このポイントはエールフレット及びエールフレット・フォースティーの«基準地点»とも呼ばれ,この座標は«基準座標»と呼ばれる。この地点の垂直座標を基準に,ニヴルクート・ヒェッラは深度13986メートルより下に広がる。ニヴルクート・ヒェッラが深度幾らまで続いているのかは今のところ未解明であるが,現在の探索範囲は深度34000メートルを超えている。通常これら三つの世界は境界を越えることで行き来することができるが,その際に«境界破りの負荷»或いは«境界線の呪い»と呼ばれる致命的な負荷を受けることになる為,エールフレットの生命たちは基本的に境界線を越えることを避けている。また,エールフレット各地にはニヴルクート・ヒェッラに続く«ビルニスフィア»と呼ばれる大穴が開いている。最も大きいものはエールフレットのセルフィニア帝国にあるカリェーセ・ビルニスフィアである。ビルニスフィアは深いものでは深度20000メートルにも及ぶ。
この世界は巨大な晶洞とも言われ,外からの明かりが差し込まない閉ざされた世界である。ニヴルクート・ヒェッラはシリカ鉱物や珪石等の塊であるニヴルクータル (晶塊) で地が固められているが,内側は巨大な晶洞がいくつも連なったような,巨大な洞窟のようになっている。そこにティオイア水晶等の発光する水晶が生えていて,それが明かりになっている。内部にはケイ酸塩鉱物であるフィネアール石が液化したものであるフィネアールラー等の液体が大量に流れており,湖を形成している場所もある。内部空間の高さは3000メートルにも及ぶことがある。ウミリアとは違い,エールフレットからもニヴルクート・ヒェッラを見ることが可能 (またその逆も可能) な為,エールフレットの地底と解釈されることがある。然し,エールフレットの深度13986メートルの境界を超えると例外なく境界破りの負荷を受ける為,明確に別の世界である。このことから,ニヴルクート・ヒェッラは地上部分を含まない時空の歪みであることがわかる。
Physical Properties
ニヴルクート・ヒェッラは基本的に地球地表よりも重力が4倍ほど弱いが,これは場所に縁って若干のずれが生じる模様である。研究史上は,同様に時間の流れが地球時間よりも4倍速いとされており,場所によってはこれらには若干のずれが生じる他,深度が深くなるにつれて重力と時間の歪みが増加し,深度26000メートルでは外界よりも重力が2倍ほど弱く,時間の流れは2.4倍ほど速くなるとされていた。これは,ニヴルクート・ヒェッラの基準値から重力は2倍強く,時間は0.6倍異なる。このことから,深度38000メートル付近でHF-00の地上と同様の重力値になると推測されている。それより深い場所では地球よりも重力が強くなる可能性があることが指摘されていた。然し,この時間と重力の関係は相対性理論を破るものである為,検証が必要であった。現在の研究では,ニヴルクート・ヒェッラは重力ポテンシャルが極大となる南北の«極点»に近づく程,また深度が深くなるにつれて,重力値が上昇すると考えられている。ニヴルクート・ヒェッラの重力と時間の問題は,エールフレットの未解決問題であり,時間の問題は特に«エールフレットの時間問題»と呼ばれる,エールフレットとウミリアと同様に研究されている。
この研究の詳細は「エールフレットの時間問題の研究」を参照。
Geography
ニヴルクート・ヒェッラは立体的に広がる為エールフレットのような区分けは難しい。ニヴルクート・ヒェッラは非常に寒く,-50℃は普通の気温である。但し,深層には比較的高温の領域があることから,深度が上がるほど高温高圧環境になると考えられている。現在の探索範囲は深度34000メートルを超えている。
比較的浅い位置 (境界から深度約20000メートル程まで) の中央から南西部には水晶の森が点在している他,北東側には水晶の園が点在している。この比較的浅い位置の東寄りの中央部の複数の晶洞に跨って,魔法王国ゼライヤが存在している。この国は準神である滅理神エヴェルゲードが統治する,カフシアデルと呼ばれる人型種族の国家である。ゼライヤはどのビルニスフィアからも離れた位置にあり,エールフレットとの連絡には越境転移ゲートが用いられるのが現在では一般的である。深度16000メートルを超えたあたりからクリスタルバレーと呼ばれる渓谷状の構造がみられる。クリスタルバレーには貴重な鉱物資源が大量に存在している。
深度約18000メートル付近の北西側には晶帝エリア (ニヴルクータルノス・ヒェッラ) と呼ばれる地帯がある。晶帝エリアはオパール等の鉱物資源が豊富である。深度14500メートルから深度20000メートルの北部から東部地帯には氷帝エリア (グラゼン・ヒェッラ) が存在している。氷帝エリアはニヴルクート・ヒェッラで現在までのところ最も寒い地帯である。氷帝エリアは他の地帯よりもニヴルクータルの色が暗い。加えてこの地帯にはモリオンやスモーククォーツ等の暗めの水晶が多く存在している。また水が多く,寒さから凍っている為,氷帝エリアと名付けられた。氷帝エリアにはグラズリス翡翠等の貴重な鉱物資源が存在している。同深度の東部から南部地帯には雷帝エリア (ミルカライセンノス・ヒェッラ) が存在している。雷帝エリアはリヴレッタ電気石の発する電気によって常にそこら中で稲妻が走る危険地帯である為,雷帝エリアと名付けられた。雷帝エリアは他の地帯よりもニヴルクータルの色が明るく,白に近い。この地帯は危険地帯であるが,リヴレッタ電気石は電子機器等にも使われる為,ここを領土にしたがる国は多くある。
深度16000メートルから深度23000メートルには風帝エリア (ルミリーンノス・ヒェッラ) が存在する。この地帯はニヴルクート・ヒェッラの中では比較的暖かいまたは涼しい地帯である。この地帯には,バリシア石やブルース石やトルコ石等が多く存在している。深度20000メートルから28000メートルの西部地帯には地帝エリア (カトランノス・ヒェッラ) が存在する。この地帯は大地の王カトラクリルド・ラグロニスと呼ばれる原初の3体のノーリンの1体が拠点にしていた為,地帝エリアと名付けられた。深度25000メートルから下には炎帝エリア (カルヴェンノス・ヒェッラ) が存在している。この地帯は他の地帯と違い比較的高温であり,蒼い炎がそこらを埋め尽くしている。ニヴルクート・ヒェッラの火山とも呼ばれる。カコクセン石や珪線石等の珍しい鉱物を見ることができる。
境界から深度28000メートルの西側はメルクタリース三帝国に支配されている。この領域の半分は神聖フェルシア帝国とタリーズ帝国による不法占拠であり,もう半分はセルフィニア帝国による不法占拠である。境界から深度32000メートルの北部から東部はミンソニフィア共和国の領地である。その他にもいくつかの国がニヴルクート・ヒェッラに領土を持つ。エールフレットに領地を持たない,ニヴルクート・ヒェッラ固有の国家としては,神ワルサワ晶界連盟奈落聖域王国や魔法王国ゼライヤ等の国家が存在する。ニヴルクート・ヒェッラにある各国家の領域は広く立体的に広がっており,他国の採掘等は禁止されている。ワルサワは西側の32000メートルよりも深い所に存在する。ワルサワの上層には奈落都市ウクサン゠ルセウダバドゥ・バンデムッテが存在する。また,ワルサワの近辺領域の一部は王国マハヴォーエの領地ノジュヘイル特別区となっている。ノジュヘイルという名称はフーリカ語でのニヴルクート・ヒェッラの表記であるNivlkút Hérra (Nivlkút Hérra) の頭文字NHをアズィーラ文字のフーリカ語での名称で読んだもの (n: ノジュと h: ヘイル) に由来する。
Organism
生命体は外界とは異なる進化を遂げたものが殆どであるが,エールフレットの生物が入り込んで独自に進化を遂げたもの等も生息している。エールフレットとは異なり,外界から侵入 (渡界) した生命体が原型となっているものは現在までの所見られていない。但し,ニヴルクート・ヒェッラの生命体は大半が未発見とされている。エールフレットに神話の時代から存在していた神 (ニース) という生命体や,その下位存在である準神 (ダ・ニース) がエールフレットからこの世界に移り住んで国家を形成している例も見られる。また,エールフレットで独自の進化を遂げた植物,フクールイ科の植物であるヒトヤドリギがヒトに寄生して成長したものである«フィーリンス» (聖樹) という植物の,繁殖活動で大きな役割を荷っていた動物的植物である«トーリン»が移り住んでいる例もある。トーリンの移住は主に古代全面戦争に於いてニヴルークがメルクタリース地方に追い込まれた後の話であるが,奈落都市のトーリンは主なトーリンの系統である聖樹フーリカの系統とは異なるものであり,これはニヴルークとは関係していない。奈落都市のトーリンの殆どは,カリェーセ・ビルニスフィア周辺に暮らしていたシェヴィール・ヴィ゠エーチカ先住民族の内,呪われていると考えられた等の何等かの理由に依ってビルニスフィア内部に«追放»されたまたは«捧げられた»者が中心となっている。奈落都市にはこの他に,カリェーセ・ビルニスフィアを独自に探査して到達した者や,ニヴルーク等の支配から逃れてきたトーリンや人類等も含まれている。
ニヴルーク・ヒェッラで現在最も多く生息しているのは,«カフシアデル»という人型生物である。カフシアデルは魔族や魔人とも呼称される。人型生命体はこの他にも,エールフレットのコレリア諸島を中心に生息するペネーパヴノエル (精霊) と呼ばれる種族の亜種である«グラゼンファリン»(氷結の妖精)とも呼ばれ生物等が存在している。人型生命体以外の多くの動物はブレイコン (魔物) と総称されており,グラオデクサ・ナナラホーホエ (氷温スライム) やフィネアールドロー (蒼狼) 等が存在している他,シリカスワーマーと呼ばれるシリカ鉱物を殻とする群れで行動するヤドカリの一種や,ミルケンセアニーナ (光の浮遊水晶) とも呼ばれる浮遊する結晶の塊のような外観をした生命体,ニケイザと呼ばれる水晶に擬態する生命体等が含まれる。深層にはフェルザンラミルフォーディナ (時の破壊者) と呼ばれる結晶状物質的な外観の生命体が存在する他,暗い領域にはショウトウガイ (晶塔貝) という光を放ちながら周囲の微生物を吸収する結晶質の外殻を持つ塔のような見た目の貝や,ヒカリツムギという光を集めるレンズのような役割を持つ,光を反射する繊維状の糸を吐く蜘蛛等も存在する。ブレイコンは異形であり,一見すると魔法的な力を原動力としているように見える。ブレイコンはこの世界に多く存在しているティオイア水晶やヴェルサルク水晶等の魔法学的に重要な鉱物の影響を受けていると考えられている。植物では,フォーフィンの亜種である青色水晶のような見た目のニヴルークフィン (水晶樹) や,サユショウゲ (冴晶華) または水晶花と呼ばれる水晶の塊のような花,トワノヒカリ (永久光) と呼ばれる乳白色の花が一般的であり,これらはこの世界の殆どの区域に自生する。一部にはヤミヲカブルハナ (闇冠花) または闇の花 (ノクティカまたはシャドーフルーレとも) と呼ばれる黒い花弁に青色の斑点のある花や, 炎帝エリアにはハザクラノハナ (破桜花) と呼ばれる炎のような赤い花弁を持つ花,シキミノシラベ (歯車調) という風や地殻の振動を受ける度にゆっくり回転する歯車のような花弁で微弱な音を発する花等も見られる他,ビルニスフィア内等にはナラクノユエツ (奈落愉悦) またはアビスズディライト等と呼ばれる花が分布している。
History
現在の説では原始地球に天体が衝突したとされる«ジャイアントインパクト仮説»から,その衝突のエネルギーによって作り出された時空の歪み・織り込まれた時空がエールフレット・フォースティーであり,その時に抉られた地下世界がニヴルクート・ヒェッラであると考えられており,この地点が始まりとされている。